RIVERSIDE PRODUCTs
2022.10.22-11.3
RIVERSIDE PRODUCTs 『Make Your Day Better』
RIVERSIDE PRODUCTsを立ち上げて5年。初めての個展を開催致します。
タイトル『Make Your Day Better』はRIVERSIDE PRODUCTsがものづくりのテーマにしている、「僕たちが作る家具や雑貨を使う方の暮らしが楽しく、豊かになるように」との願いを込めたものです。
RIVERSIDE PRODUCTsは、木の持つ個性を活かし、シンプルで使い勝手良い、どこか懐かしく愛着をもってもらえるモノづくりを心がけています。今回の個展を通し、その一片を少しでも感じていただければ幸いです。
会期:2022年10月22日(土)〜11月3日(木)
定休日:火、水曜日
時間:11:00〜18:00
Profile
MASAKI TAKAHASHI
1986年、埼玉県出身。
大学卒業後、大手ライフスタイルブランドにて家具販売員として勤務。
お客様との関わりを通してより深く家具について知りたいという思いが生まれ、家具職人を目指す事に。
その後大手ゼネコンの造作・別注家具の製造や北欧ヴィンテージ家具の修理、無垢材家具の製作を経験する中で、それぞれの家庭や住宅に
合わせ、個人の要望に寄り添った家具を作りたいと考える様になる。
2017年、オリジナルブランド「RIVERSIDE PRODUCTs」を立ち上げ。
ブランド名には幼い頃父と釣りをした実家近くの川から、素朴でありながら懐かしい雰囲気の家具を届けたいという思いを込めた。
「暮らしの道具である家具を、楽しく、愛着をもって使ってもらいたい」
一生飽きのこないものづくりを目指し、日々奮闘中。
INTERVIEW
幼い頃に見た風景を家具に投影するRIVERSIDE PRODUCTs初個展『Make Your Day Better』開催インタビュー
2022年10月22日から開催される木工家具ブランド『RIVERSIDE PRODUCTs』の初個展『Make Your Day Better』。ナラの木で作られたダイニングチェアにテーブル、カトラリーボックスなど、同ブランドで現在販売中のアイテム約20種類がSOQSOギャラリーに勢揃いします。シンプルながらマスプロダクションにはない遊び心あるデザイン、節や割れ、荒木といった通常では省かれる無垢材の表情を生かした意匠が特徴で、今年9月に出店したアウトドアフェスでは想定の倍の売り上げを記録するなど、今、インテリア好きの間で静かに支持を広げています。 そんな『RIVERSIDE PRODUCTs』の代表で、制作から販売を一人で手がける家具職人の高橋政貴さんにお話を聞きました。
Interview & Text / Tetsutoku Morita
RIVERSIDE PRODUCTsに込めた願い。
──ブランド名に冠された「RIVERSIDE」は髙橋さんの地元にある川をイメージされたそうですが、どんな幼少期を過ごされたんですか?
どちらかといえば活発な方だったと思います。プラモデルが好きでガンダムやミニ四駆を作って完成したら分解してまた組み立てる、みたいな事も繰り返しやっていました。 今になって考えてみると、バラバラのパーツがどうやって形になるのか、仕組みを知るのが楽しかったのかもしれません。
──家具職人のルーツは子供時代にあった。
そうですね。父親が電気工の職人で日曜大工をする姿をよく見ていたから、その影響で必然的に作ることが好きになったんだと思います。
──「PRODUCTs」にはどんな意味が?
手軽に生活に取り入れられる、でも量販店とは違った色がある、そんな家具を作れたらと考えています。 節や割れといった木の個性を見ながら一点づつ製作しているので量産はできないけれど、出来るだけ価格を抑え、お客さんに合ったものを提供していきたい。 そう言う意味で『プロダクツ』と名づけました。
川の流れのような紆余曲折を経て。
──シンプルでありながら、木の空気感を感じられるのが『RIVERSIDE PRODUCTs』の魅力だと思います。家具作りはどんなきっかけで始められたんですか?
実は、学生時代は特別家具に興味がなく、ノイズやエレクトロニカと呼ばれる音楽が好きで、渋谷のレコード店で働きながらインスタレーション、音と映像を組み合わせて空間表現するアート活動をやっていました。 卒業して何しようとなった時、音楽で食べていけるか不安があって、迷うなら就職しようと思い、入ったのが某ライフスタイルブランドだったんです。
──食品から衣服、雑貨とさまざまなアイテムを取り揃えるライフスタイルショップの先駆けですね。
下北沢店の家具の販売に配属されました。そこは建築事務所が多いエリアで、ある日、近くの建築家の方がいらっしゃったんです。 内装をうちの家具でやりたいと希望され接客したところ、すぐに僕の知識が乏しいことを見抜かれて、ものすごく叱られたんですね。 それが悔しくて何より自分自身に腹が立ち、独学で家具の勉強を始めました。 そうしたら次第に面白くなってきて、家具の学校に通い始めたんです。 昼間は仕事で夜は勉強。 それで1年半通ったら製作の方に進みたいという気持ちが強くなり、卒業のタイミングで退社して実家がある埼玉へ戻り、近くの木工所に就職しました。
──大きな決断ですね。その木工所では何を作られていたんですか?
大手ゼネコンの造作です。公共のホールにある巨大な丸柱だったり、国立大学の内装なんかを手掛ける木工所で、いかにも職人って感じの仕事場でした。 分業制ではなく、最初から最後まで一人の手で仕上げる。 右も左も分からないので、毎日怒られてましたね。 入ってしばらくは一日ベニヤを100枚切るとか、そんなところから少しづつ技術を覚えていって。 厳しかったんですが、その経験が綺麗にものをつくるという自分の基礎になっているので、よかったと思います。
──家具の製作はいつ頃から?
物作りに携われる環境になったんですが、やっぱり僕は一般家庭で使われる家具を作りたかった。 なので、そこを3年で退社しました。 その後すぐ、実家の近くに北欧家具のお店があると知って、行ってみたら偶然、求人募集していて、たまたま社長さんがいらっしゃったんです。 お話をしているうちに、働いてみないかという流れになって。
──すごい幸運ですね。
はい。 そこは店長がデンマークで買い付けきた有名デザイナーのビンテージ家具をリペアしたり、オリジナルの家具の製作もしていて、とても勉強になりました。 北欧のデザイナーズ家具ってものづくりの仕方が違うんですよね。 僕らには考えつかないような形だけど、シンプルだし、サイズ感も手頃で日本人にも好かれるんです。 簡素なんだけど一手間加えているというか。
──ひと工夫という点は、髙橋さんのプロダクトにも通じますね。『RIVERSIDE PRODUCTs』では節や割れといった木の表情を生かすため、無垢材を使われているのもこだわりです。
北欧家具の修理やオリジナルの製作に携わる中で、だんだん無垢の家具に集中したいと思うようになったんです。 そんな時、無垢材を使った大阪の家具ブランドでインターンとして働くチャンスに恵まれました。 迷ったんですが、家族も応援してくれて、埼玉から単身、関西へきたんです。 結果的にそこにいたのは数ヶ月間でしたが、その経験は大きくて。 自分の感性でプロダクトを作ってそれを販売するというイメージが具体的になりました。 その後、大阪にある別の木工所へ移り、そこはアパレルショップの内装家具から別注の造作まで幅広く手掛ける何でも屋さんみたいなところで、先輩の職人さんから無垢材の種類や適性を詳しく教えてもらい、その時期から休日を使ってオリジナルの家具を作り始めました。
木の表情と、異素材の組み合わせ。
──様々な経験を経て『RIVERSIDE PRODUCTs』は誕生したんですね。現在のプロダクトはどのようなものがありますか?
ダイニングテーブル、椅子、キャビネット、シェルフ、ローボード、スツール、キャンプ用テーブル、それにカトラリーボックスやブックエンドといった雑貨も作っています。 全部で20種類くらいですね。
──中でも話題のアイテムは?
最近、問い合わせが増えているのはカンバセーションテーブル、分解して持ち運びが出来、アウトドアでも使えるテーブルです。雑貨だとカトラリーボックス。 ナイフやスプーンの他にアクセサリーを入れてもいいし、色んな使い方できるように設計しています。 『RIVERSIDE PRODUCTs』は拡張性を大事に、お客さんの思うような使い方ができたらと考えているんです。
──素材にナラの木を使われるのはどんな理由が?
木、本来の持ち味を出すために、表面に塗膜を作らない「オイルフィニッシュ」という塗装仕上げをしているんですが、ナラは染色するとビンテージぽい風合いになるし、ナチュラルなオイル仕上げにすると、清潔感が出て日本の住宅に合う色になるんです。 お客さんのご要望を聞いてどちらにも持っていける、色々な雰囲気が出せるところが気に入って使ってます。 一般的にも丈夫なので家具に使われることが多い素材ですね。
──普通の家具って表面がつるっとしていて、節が使われれることって珍しいですよね。
節目は木の根元で、枝を切り取った時の傷です。 木として見た場合、節はあるのが自然なんですね。扱いにくいので普通の家具屋さんはNGとして外してしまう。 でも、ちゃんと加工し配置を考えて適切に落とし込めば商品に出来るんです。
──鉄を使われているのも『RIVERSIDE PRODUCTs』の特徴ですね。
スチールとナラの組み合わせはすごく相性がいいんです。 無骨さを出したい時は、あえてスチールの塗装を抑えることもあります。 錆びないように素地に艶消しのクリアを吹きますが、傷だったり軽いサビみたいなものはわざと残します。 僕はそれが逆にいいなと思っていて。 作られていく過程で出来たものだし、こういう表情を大事にしてあげたいと。
──プロダクトのモチーフは幼少期に見た川の風景ということでした。
そうですね。故郷には2本の川が流れていて実家はその間に挟まれてるんです。 僕は自分のものづくりの出発点がそこだと思っていて。 もう川も干からびちゃってるんですが、哀愁というのかな、枯れて寂れてるけどちょっと温かみがある、そのイメージを家具に投影できたらなと思っています。
あなたの暮らしをより良いものに。
──初個展のタイトル 『Make Your Day Better』にはどんな意味が?
『RIVERSIDE PRODUCTs』の家具を使ってもらって、それがきっかけで少しでも暮らしが豊かになっていったら、それが僕にとっての喜びだし、作る意味に繋がっていくのかなという思いで付けました。
──展示はどのように楽しめばよいですか?
実際に触ってみて下さい。木の質感や節の凹み、ダイニングチェアなら一度座ってもらって直感でいいなと思ったら買っていただくのが一番だと思います。 椅子って人によって感じ方が全然違うんですよね。 安くてもすごく心地が良いものがある一方、高い椅子だからって全てが良いって訳でもない。 相性があるんです。
──家具って不思議ですね。人間みたい。
展示したことによって、足を運んで頂いた人の見方が変わったらいいなと思っています。 こういう家具もありなんだと。 色々言いましたが単純に『RIVERSIDE PRODUCTs』で作ってるアイテムは僕が欲しいものだし、その感覚をわかっていただける方がいれば、それ以上に嬉しいことはありませんね。